戦後、外地からの引き揚げ者が輸入制限のために預けた証券などを保管する税関は二十九日、一九四六年に旧・満州国(現・中国東北部)から夫とともに引き揚げた米子市西福原二丁目の加根道枝さん(80)に、当時の貯金通帳と証券を返還した。ちょうど六十年の歳月を経て、加根さんは今は亡き夫との思い出の品を手にした。
加根さんは四五年三月、肉親が建築会社を営んでいた満州国に渡り、そこで働いていた八歳年上の夫と結婚。四六年九月に引き揚げたが、その際、現地の集結地に貯金通帳や証券を預けた。六十年の節目となるこの夏、加根さんは引き揚げて以来初めて現地を訪問。帰国後、引き揚げ者が預けた証券などについて税関が返還を促進しているとの日本海新聞記事を見かけ、税関に問い合わせたところ、夫名義の貯金通帳と証券計六点(当時の額面計七百三十円四十二銭)が確認されたという。
この日、加根さんは境税関支署(境港市昭和町)で浜本賢治支署長から貯金通帳と証券の返還を受けた。浜本支署長は「(貨幣としての)価値はないかもしれませんが、ご主人と奥さまの記念の品になると思います」と話し、加根さんは「思い出が返ってきました。子どもたちに見せてやりたいです」と感慨深く語った。
境税関支署によると、返還例は管内では二〇〇三年十月以来、二件目。全国での返還数は四十七万八千件あるが、返還率は35・4%にとどまる。引き揚げ者の高齢化が進む中、返還は年々難しくなっているという。(8/30記事)
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