鳥取銀行は三十日、主要取引先で経営が悪化していた境港市の大手水産物仲買・製造加工の「大伸水産」(同市昭和町、資本金一億八千八百万円、宮本英紀社長)の再建について、整理回収機構(RCC)の企業再生スキームを活用した事業再生計画を発表した。同社を分割して、債権約四十二億円(鳥銀など十一行計)を放棄。二十九日設立の受け皿会社「大新」に事業を引き継ぐ。従業員四十七人の雇用は維持される。RCC活用の企業再生は山陰地方で初。
鳥取銀行によると、同社はピーク時の一九九四年には百六億円の売上高があったが、イワシを中心とした漁獲量の激減で、〇六年二月期には四分の一の約二十八億円に落ち込んだ。食品加工工場などの過剰設備や子会社への貸付金約二十二億円が回収不能になるなど、負債は五十三億五千百万にのぼっている。
RCCを活用した再生計画では、同社を八月一日に金融債務会社と事業継続会社に分割。金融債務会社は特別清算し、鳥取銀行(債権三十二億六千四百万円)など十一行が債権四十二億七千八百万円を放棄する。すでに休業している子会社の「日本海養魚」など二社も清算する。
事業継続会社は受け皿の「大新」に吸収し、水産物の売買と製造加工の事業を引き継ぐ。大新は鳥取銀行など十一社が出資し、資本金は五千万円。大伸水産と同所を本社とし、同行出身の宮本社長が引き続き経営する。
鳥取銀行は「RCCの活用によって再生計画の検証や金融債権者間の調整ができ、再生計画を実現する可能性が高い。地域経済の安定のために、主力銀行として引き続き支援していく」としている。大伸水産は一九七二年設立。水産物の仲買とともに、主力はイワシやアジの加工品で、商品「とれとれいわし」などが知られている。
昨年十二月には同じ境港市の水産業最大手「共和水産」が山陰合同銀行などの債権放棄(約百五十四億円)を軸に経営再建に乗り出しており、漁獲量の激減で厳しい経営環境に陥っている境港の水産業は正念場を迎えている。(7/1記事)
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