サバ、イワシの水産缶詰を山陰で唯一製造していた鳥取缶詰(境港市弥生町、板倉良多社長)は十九日までに、同種缶詰事業の継続を断念した。イワシなど豊富な資源を背景に輸出向けとして栄えた山陰の水産缶詰業界だが、円高や漁獲不振で事業撤退が続出。同社の撤退で、山陰での同種缶詰製造は終えんを迎えた。同社は今後、不漁対策で始めた即席めんや飼肥料の生産に独自性を発揮し、活路を求める。
鳥取缶詰は一九五二年に東南アジア、アフリカ、中南米向けの水産缶詰の製造を開始した。輸出需要が高く、国内向けに比べて大量出荷が可能だったことなどから、最盛期の八三年には水産缶詰の年商が数十億円を記録したが、円高進行などで近年は数億円に減少。国内向けも手掛けていたが、漁獲不振で原料が不足し、十五日に製造中止に踏み切った。
農水省鳥取統計・情報センターによると、鳥取県内の水産缶詰と瓶詰製造工場は八三年に十八棟を数えたが、〇三年には四棟に減少。また、鳥取缶詰によると、山陰でサバ、イワシを原料にした輸出向けの水産缶詰会社は八〇年に七業者あったが、約五年前に同社だけになっていた。
水産缶詰事業の撤退について、板倉社長は「一番の原因は原料不足。悔しいが、客観的に(見て)事業を保持できない」と説明する。今後についてはイワシ漁が低迷していた一九六三年から取り組む即席めんや二六年の創業当初からのレトルト食品、飼肥料に独自性を発揮する方針で、飼肥料の原料となる魚粉の独自開発、拡販などに取り組んでいく。(4/20 記事)
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