境港市渡町と島根県八束町江島を結ぶ江島大橋が十六日に開通を迎える陰で、これまで両地域をつないできた中浦水門の管理従事者をめぐる雇用問題が、未解決のまま日程的に切迫感が増している。中海淡水化中止に伴う水門撤去が来年度にも始まる見通しだが、従事者でつくる労働組合が国に要望する再就職先確保はいまだに実現していない。従事者らは大橋開通を複雑な思いで見つめ、働く場を求めている。
「閘門(こうもん)の操作業務はあと一年半で終わる。大橋開通後は撤去工事が具体的に始まる。時間が過ぎれば労働者は捨てられる」。従事者の一人、仁宮敬富さんは胸中をこう語った。仁宮さんは、中浦水門の閘門操作を農水省から受託する商船三井海事の労組(約六十人)の執行委員長を務める。
仁宮さんによると、一年半前に労使で結んだ協定は、会社は国や山陰両県と連携して従事者の再就職の実現に努めるという内容。しかし、現在までに従事者の大半は再就職先が確保されておらず、失職の懸念に直面している。協定がほごになることを危ぐする労組は「撤去工事の業務に、ある程度の人数をまとまって転職させてほしい」と農水省に要望した。
農水省中海干拓建設事業所によると、淡水化中止に伴う諸手続きが終われば、二〇〇五年度から水門撤去が本格的にスタートし、同年度末で閘門操作は終わる。しかし、〇八年度末までの撤去工事には工事関係船や一般船舶の航行を管理する専門家二十数人が必要となるだけに、これに伴う雇用をめぐって現在、商船三井海事側などと協議を進めているという。
水門従事者の雇用を撤去工事で創出する意見は九月鳥取県議会でも出た。福間裕隆議員の質問に対し、片山善博知事は「撤去工事に伴い雇用は発生すると思う。現在、就労されている方々がそこに従事することは合理性がある」と理解を示し、「ぜひ、国に申し上げたい」と答えている。
中浦水門は一九七四年十月に防潮水門として完成し、商船三井海事の従業員が従事して三十年がたつ。労組側は「企業として進出を望んだわけではない。未来永劫(ごう)にわたって管理を、と国からお願いされて進出した」との経緯を踏まえ、再雇用確保は国、両県一体となって解決する問題だ、と強調する。
仁宮さんは「撤去工事に伴う雇用は次善の策。撤去工事が目前で始まり、行き先のない中、そこで雇用延長を図ってもらうしか方法がない。ただ、他事業所に転職を希望する人たちには、会社や国、両県に対して引き続き雇用確保を求めていく」と話している。(10/14記事)
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