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 2004年03月16日
 
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2004年03月16日
職場の健康メモ 「オーダーメードの臨終」

執筆:西部地域産業保健センター 産業医 小酒 浩 先生 
さかいみなと会議所ニュース2004年3月号掲載

写真      

 「せんせ、わしゃもう90だで、えっと生きたわ。こんなにあちこちがいたむんなら、はよ迎えがくればいいのに」と患者さんのおばあちゃん。

 「そんなに急いでも、膝や腰の痛みじゃ死ねないよ。心配せんでも、その時がくればちゃんと誰でもお迎えがくるんだから」と医者の私。往診先や診療室でよく繰り返される会話です。

 「楽に行けるいい薬を出して」。「むちゃ言うな、そんなもんないよ」。「頼んどくけんな、死ぬ時は家がいいな。わけがわからなくなったら点滴も注射もなんもせんでいいけん」。

 「わかった、ほかに希望はないの?今聞いておかんと、その時には話ができる状態かどうかわからんもんね」。

 普段の診察の時から少しずつ世間話をしながら、外来が暇な時はゆっくりと腰を据えて、家族の状態や本人の望む死の迎え方について話を聞きます。

 医者になってずいぶんたくさんの患者さんの人生の終わりに立ち会ってきました。一昔前までは、患者さん本人には死に関する話題はタブーで、家族と医者が本人に悟られないようにどうしたものかと悩み相談したものです。

 今では、病名も予想される予後も良くも悪くもそのまま本人に告げます。どんな治療法があり、それぞれのメリット、デメリットも説明し、希望されれば別の医師の意見も聞けるよう紹介します。

 患者さん自身が結果を負うのですから自分で選ぶのは合理的です。治療法も選ぶのであれば、当然、人生の終わりの迎え方も自分で選べばいいのです。大切なことであればあるほど、自分で決める権利があると思います。

 元気で笑いながら話せる今、医者や家族とゆっくり話し合い、希望どおりのオーダーメードの臨終を迎えたいものです。


※「職場の健康メモ」は、今回で終了させていただきます。
 長らくの間、ご愛読ありがとうございました。


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