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 2003年02月20日
 
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2003年02月20日
職場の健康メモ 「自己骨髄細胞移植による血管新生療法」

執筆:西部地域産業保健センター産業医 都田 裕之 先生
さかいみなと会議所ニュース2003年2月号掲載

写真    

 重症の虚血下肢(足に流れる血液の量が著しく減少する病気)に対する新しい治療法として、血管新生因子の遺伝子治療や細胞移植による血管新生療法が臨床応用されるようになりました。

 従来、成人における血管新生は、既存の血管が枝分かれして形成されると考えられていましたが、近年、成人の末梢血(体内を循環する血液)中に血管内皮前駆細胞(血管を作る細胞に変化する前段階の細胞)が発見され、これが虚血部位に到達して、増殖・分化することで新生血管が形成される可能性が示唆されました。

 その後、血管内皮前駆細胞は、骨髄に由来することが分かってきました。骨髄単核球細胞(白血球の一種)は、血管内皮前駆細胞の供給に加え、血管新生因子の放出も行っていることが分子医学的研究で明らかになり、骨髄単核球細胞は、抹消血中の血管内皮前駆細胞を用いるよりも血管新生効果が高いことが認められました。

 この治療法は先ず、内科的治療では効果に乏しく、外科的にも血行再建が困難で、下肢の安静時疼痛や虚血性潰瘍を有する重症の慢性虚血下肢患者を対象として行われました。
全身麻酔をして、腸骨(骨盤の一部)から採取した骨髄液の骨髄単核球分画を分離し、これを患者の下肢数十ヵ所に筋肉注射するという方法です。

 その結果、安静時疼痛は、90%近い症例で、潰瘍は、75%の症例で消失し、血管造影検査をして、側副血行路(血管の周辺にできる新しいバイパス)が発達していることが確認されました。特に、患部の足の切断を余儀なくされている患者さんには、極めて有用な治療法と考えられます。

 本治療法は、山陰では昨年、鳥取大学病院循環器内科で初めて実施され、良好な結果が得られました。血管新生療法は、ごく近い将来に虚血性心疾患にも臨床応用されるようになると思われます。



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